後追いの施策から水上へ

後からやるかと前にやるかでは、自ずとかかる手間とコストが違ってくる。福祉の領域でも地域整備の分野でも、時間をかけて、先延ばしにすればするほど、関係性が困難になり、問題は複雑化し、解決することが困難になる。「物事は時間と共に崩壊する方向へ進む」とは物理学では常識とされる。

地域行政課題の一つの具体的な事例として、老朽化した空き家対策がある。高齢化と人口減少時代に入り、全国的にもすでに社会問題化して久しい。斜面地を多く抱える長崎市でも、人が住めなくなった危険空き家が急激に増加していて、火災や防犯上から周辺住民や自治会から撤去や除却についての地域相談が私にも数多く入ってくる。相談が届くと行政担当者との協議に入るが、そこにいるはずの住民を探すところから始めなくてはならないのが現実だ。

肝心の空き家を減らしていか有効活用して、域内の人口流出に歯止めをかけるかという水上の施策を執行する前に、途方もなく対処的な時間を要してしまうことになる。

行政が行う事業は、これまで、予算立てと、公平性を守りリスクを排除する意思決定プロセスの仕組みにとらわれ、問題が表面化してからの対処的対応にどうしても追われる、後追いの政策になりがちだった。

先を見通し、先取りして複雑化する課題の種を水上で紐解き、水下で広がって収集できなくなる状態を回避するためにも、先行投資的な政策を実行する先見性と迅速な意思決定プロセスが必要であることは、多くの組織人が痛感している。

「タイムイズマネー」。人口減少時代に入り、厳しい地方自治体自主財源の中で、フロントサイドに配置する職員も不足しているのであれば、行政が行う事業は、水上の施策執行にもっとエネルギーを投入し、迅速な意思決定が必要だ。

市民や事業者との協働体制の強力な推進と合わせて、迅速な意思決定と政策実行することが最大の行財政改革だと思う。それが、地域を持続可能にするためのグランドデザインだと思う。

投稿者: 梅元建治

うめもと建治 プロフィール 1967年 長崎市生まれ。県立長崎南高等学校(23回生)〜長崎大学工学部卒業後、九州芸術工科大学環境設計学科岡研究室に在籍。福岡市の(株)環・設計工房にて、建築設計、地域計画、市街地活性化事業、環境デザインを担当 父の死去に伴い2000年~有限会社海産工房梅元 専務取締役。茂木商工会青年部部長、(財)ながさき地域政策研究所登録研究員、長崎県行財政改革懇話会委員(県総務部)、県立大学長崎シーボルト校非常勤講師、地元テレビのコメンテーター等も経て2010年から一般社団法人ナガサキベイデザインセンター代表理事。 【現在の所属】 長崎市議会議員(自民創生会派)、長崎県景観形成(地域振興)アドバイザー、長崎居留地まつり実行委員会事務局長、NPO法人長崎コンプラドール理事、長崎近代化遺産研究会理事、長崎市ブランド振興会企画部会長、長崎市立梅香崎中学校PTA会長ほか

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